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HSPとうつ病の特徴を知ろう!HSPがうつ病になるのを防ぐ対策法とは?

「人の視線や感情を気にしすぎて疲れる 」

「物音や声、自動車のライトなど外部刺激に敏感」

そのような特徴をお持ちの方は「HSP」かもしれません。

日常にありふれている光景がHSPにとっては過度な刺激に感じ、ストレスを感じてしまいます。刺激に高感度なHSPは身の回りにストレス源が多く存在した世界で生活し、何かと心がネガティブになりがちな傾向があります。「過度なストレス」「ネガティブ」が慢性的にはたらくと、やがてうつ病を引き起こす原因となってしまいます。

この記事では、HSPとうつ病のそれぞれの特徴について解説し、HSP気質をもつ方々がうつ病になるのを未然に防ぐための対策法をご紹介します。

目次

HSPとは

様々なストレスを抱えている女性

HSPとは、”Highly Sensitive Person”の頭文字をとった略称で、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」という意味です。HSPの概念は、アメリカの心理学者エレイン・アーロンによって世界で初めて提唱されました。

HSPは生まれ持った先天的な気質であることがわかっており、統計的には人口の15%~20%が当てはまるそうです。5人に1人があてはまる『性質』は、稀ではないといえます。しかし、裏を返せば、約8割の人はこの性質にはあてはまらないため、HSPの特性は共感を得ることが難しく、HSPでない人たちとの差に自己嫌悪を感じることや、まわりに合わせようと無理をして生きづらさを感じやすくなる性質といえます。

その生きづらさから、メンタルケアを必要とし、心療内科などの医療機関を訪ねる方もしばしばいらっしゃいます。しかし、HSPはあくまで「気質」であり、病気ではありません。よく心身症や神経症などの精神疾患と混同されがちですが、そうではないのでご安心ください。HSPの場合、メンタルケアのためには生活環境を変えたり、リフレッシュ法を確立したりすることが重要です。もし、精神疾患の疑いがある場合、心療内科や精神科などの専門の医療機関に診てもらう必要があります。

まずは、HSPの特徴についてみていきましょう。

HSPの特徴

HSPは、「繊細」「敏感」「ネガティブ」「内向的」「外交的」「気難しい」などの印象を受ける方が多くいらっしゃいます。もう少し細かく言うと以下のような特徴があります。

① 深く情報を処理する
② 過剰な刺激や興奮を受けやすい
③ 他の人よりも感情的に反応しやすく共感しやすい
④ 心の境界線が薄い・もろい
⑤ 疲れやすい
⑥ 自己否定が強い
⑦  他の人が見逃してしまうような環境の機微を感じやすい

これらの特徴は一見、ネガティブな表現で捉えがちになりますが、ポジティブな表現に変換するとこのようになります。

・丁寧
・感受性が良い
・気持ちを考えてくれる、汲み取ってくれる
・視野が広い
・次に活かせる思考をもてる
・想像力が豊か
・些細な変化にも気がつける
・相手に気遣いができる
・危険察知能力が高く、リスクを避けることができる

お気づきでしょうか?

HSPは「動物として生き抜くために必要な能力」が非常に高いのです。
また、課題に対して慎重に判断をしたり、些細な変化にも気がついたりするため、職場では重宝される存在となります。
もし、そのような人が同じ職場にいたら職場環境や人間関係の交流面について聞いてみても良いかもしれません。あなたが思ってもいなかった新たな視点が得られるかもしれませんよ。

そんなHSPですが、人間社会ではストレスを感じやすい要因が多く存在するため、精神的に疲れやすいという特徴があります。急がせず、パーソナリティを大切にHSPを理解して接していくことで親密な関係性を築くことができます。

うつ病とは

うつ病で引きこもった女性

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスを慢性的にさらされることで発症する精神疾患です。精神症状には、抑うつ気分、興味、喜びの喪失、気力の低下、不安、焦燥感、思考力、集中力の低下などがあり、身体症状には食欲不振または過食、不眠または睡眠過多腹痛、下痢、便秘、倦怠感、疲労感、血行障害(痛み、しびれ、めまい)などが挙げられます。また、物事の捉え方が否定的になりやすい傾向があります。

うつ病の発症要因として遺伝要因と環境要因が挙げられます。様々なストレスが発症の引き金となることが知られており、患者数は年々増加傾向にあり、大きな社会問題となっています。うつ病は脳の病気なので、症状を自覚したら専門の医療機関(心療内科または精神科)に相談してみましょう。

発症機構

からだがストレスを受けると視床下部-下垂体前葉-副腎皮質(HPA)軸と呼ばれるホルモン分泌調製系が活性化し、副腎皮質よりグルココルチコイドと呼ばれるストレスホルモンが分泌され、からだのストレス耐性を高めます。しかし、慢性的にストレスを受けると、この調節系が破綻しグルココルチコイドが過剰に分泌されることになります。グルココルチコイド過剰分泌により、細胞が高濃度のグルココルチコイドに曝露されることがうつ病の原因であるとする”HPA軸仮説“が提唱されています。このグルココルチコイドの過剰分泌がうつ病の発症原因のひとつと考えられていますが、その発症機構は不明な点が多いようです。

症状

うつ病の特徴は、「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」です。症状には、精神症状と身体症状があります。
精神症状には、抑うつ気分、興味、喜びの喪失、気力の低下、不安、焦燥感、思考力、集中力の低下などがあります。
身体症状には食欲不振または過食、不眠または睡眠過多腹痛、下痢、便秘、倦怠感、疲労感、血行障害(痛み、しびれ、めまい)などが挙げられます。
うつ病は、病気と自覚しないことが多く、自殺企図に至るなど悪化しやすいのも特徴です。
うつ病の時期(うつ病相)は3ヶ月から1年以上続くこともあります。うつ病は早期発見が早期回復につながります。
症状が長引きやすく、社会復帰することが困難となるケースが多いため、専門の医療機関の診断、治療が必要です。

うつ病の発症割合

日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。理由の1つに、女性には、ホルモンと関連した特有のストレスが起きやすいことが考えられます。特に、月経前、産褥期(産後約8週間)、更年期などでは、女性ホルモンの崩れによる心身の不調が現れやすく、抑うつ感などさまざまな精神症状も出現します。また、老年期にはさまざまな喪失体験により、うつ病を発症しやすいといわれます
引用元:①https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html
    ②改訂版ケアストレスカウンセラー公式テキスト p.186 著者 一般社団法人 クオリティ・オブ・ライフ支援振興会

HSPはうつ病になりやすい⁉︎

HSPは非HSPよりもうつ病になりやすい傾向にあります。
HSPは常に五感というアンテナを多く張り巡らし、外界からのあらゆる刺激を過剰に感じ取ってしまいます。
刺激を受け取りすぎると脳が何とか情報を処理しようとして、結果疲弊してしまい、精神的にも身体的にも疲れが表れてします。
慢性的に不快な感覚を受け続けると脳へ悪影響を及ぼします。うつ病の発症原因は未だ解明されていませんが、ストレス由来の病気であることが知られています(詳しくは「うつ病の特徴の発症機構」をご参照ください)。

また、HSPの概念を提唱したアーロン博士の論文では、HSPは非HSPに比べて、憂鬱、不安、内気になる傾向があり、原因は子ども時代の両親との関係性であることがわかっています。両親との間で問題を抱えていたHSPは憂鬱、不安、内気になる傾向が強いということが実証されています。
(※詳細は以下のリンクをご参照ください。)

HSPがうつ病になるのを防ぐ対策法

自然の開放感を堪能する女性

では、ストレスを感じやすいHSPがうつ病に罹らないようにするには、どのような対策をすればよいのでしょうか?

①しっかりとした休養をとる
HSPさんは何かと疲れが溜まりやすい。大量の情報を処理しやすい気質だからこそ、脳を休める時間をつくることはとっても大切。
例えば、6時間以上の睡眠時間の確保や睡眠の質を高めると疲れが取れやすくなるでしょう。
睡眠の質を高めたい方は以下のブログをご参照ください。
『目覚めが良くなる!睡眠の質を高める方法』


②ご褒美を用意する
「今日も1日仕事を頑張った」
「部屋の掃除をしてとても綺麗になった」
「人助けをした」
あなたの「頑張った行動」の報酬としてご褒美を用意しておきましょう。

ご褒美はできるだけ簡単に用意できる日常的なものが好ましいです。理由は、HSPは非HSPよりも多くの情報を処理しているため、脳が疲れやすく、モチベーションを保つコツが必要だからです。また、頑張った度合いに合わせたご褒美を用意しておきましょう。

例えば、私の場合、甘い物を食べることが好きなので「今日も1日仕事を頑張った」ご褒美としてアイスクリームを用意します。
また、旅行をするのも好きなので、「1年間猛勉強して資格を取った」ご褒美として温泉旅行に行きます。

このように、行動と報酬の度合いを比例させると継続しやすく、モチベーションを保つことができます。

③ポジティブな言葉を使うように心懸ける
人間は疲れているとどうしても現実逃避したくなり、ネガティブ思考になってしまいがちです。自己肯定感が低くなってしまう方もいらっしゃいます。
そんな方におすすめな方法は、弱音をポジティブワードに置き換えることです。

例えば、あなたが「上司が常に私を監視しているような気がして思うように仕事ができない」という悩みを抱えていたとしましょう。この場合、「上司は常に私を見守ってくれている、だから安心して仕事ができる」とポジティブに表現してみましょう。そして、そのポジティブワードをあなたの心にしっかりと落とし込んでください。そうすることで、悩んでいたことが気にならなくなり、あなたの心に余裕が生まれます。

また、周囲にあるネガティブワードに関与しないことも重要です。感受性の豊かなHSPは、他人の怒りや悲しみ、嫉妬などのネガティブな感情を吸収してしまい、処理して様々なことを考えてしまいます。その結果、脳が疲れてしまうのです。ですので、ネガティブなものには触れないように行動し、ポジティブなものを周囲に用意しておきましょう。

HSPがうつ病に罹らないようにするための対策としては他にも、

●1人の時間を大切にする
●五感への刺激を物理的に避ける
●生活環境を変える

などがあります。

最後に

HSPの心のケアには、HSP自身がHSPの特徴を理解することやHSPに対する理解者の存在が必要です。そして、HSPを一括りに考えず、ひとり一人のパーソナリティを大切にすることが重要です。
HSP気質がうつ病を誘因することを防ぐため、HSPのことをより多くの方に知っていただけたら幸いです。
Harmony Spaceでは、HSPへの理解を深めるための活動を今後も行っていきます。

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